No.18
こんばんは。メロン管理者の稲葉です。
数年前に花粉症と診断された私は、ここ数日は症状がひどく仕事どころではありません(笑)
さて、今日は入居者のAさんの居室の紹介です。
彼女は、とにかく工作が好きで、写真のように部屋には今までに作った作品が所狭しと置かれています。
主に、NHKの教育番組のキャラクターや、自分自身で創造したキャラクターだったりいろいろです。
材料も、通所先の作業所でもらってきた段ボールやチラシにティッシュに画用紙など、身近にあるものを器用に選びながら作品を作っています。
今、障害者の芸術作品(アウトサイダーアート)が注目を浴びる中で、彼女の作品もそういった類のものなのかもしれません。
僕が学生時代に旭川から全国で展覧会を行った、「アールブリュット/交差する魂」という展覧会がとても衝撃的だったことを思い出します。当時、記念講演を聴くことができたことが、今でもいい思い出になっています。
当時、印象的だったのが、日本の入所施設で暮らす知的障害者の方の作品で、A4の紙に図形のようなものがたくさん書かれている束の作品でした。
職員は、毎日、毎日書かれていく”謎の紙”が多く溜まると処分をしたそうですが、その”謎の紙”に興味を持った職員が本人といろいろと関わる中で日記と判明した、というエピソードがある作品です。
そんあ作品が美術館にあると”価値ある作品”として、当時の僕は「もったいないなぁ・・・なんで価値に気づかなかったんだ」と心の中では思っていましたが、あれから15年近くたち、その職員側にたつと、「部屋が作品で埋もれるから処分しても仕方がない」と思ってしまいます。まったく見方が変わるだけで身勝手な人だと自分自身でも思います。
メロンのAさんに話を戻すと、彼女の作る作品もまた、膨大な量になり、「お別れ」と銘打って溜まりすぎると一部を処分したりします。
この作品に芸術としての価値があるかは人それぞれですが、彼女にとっては唯一無二の作品であり、たとえ高額で取引されることになったとしてもそう簡単には手放すことはないのかもしれません。商売として作品を作っている訳ではないからです。
作品として”形あるもの”に評価される傾向はありますが、表現としての評価という視点だと、字も絵も描けなくても同じように表現はできると思います。
話すことができなくても、言葉以上の表現で物事を伝えてくれる障害者はたくさんいますし、そういう意味では表現者としては(相手に伝えるという意味では)一流のアーティストなのかもしれません。